イシダドウロが語る「『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』に物申す」

2012年12月6日のルミナリエ初日とあたって渋滞にあった車中で、「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」について語られていた。
(前編は「イシダドウロが語る「『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』に感じたこと」」http://d.hatena.ne.jp/Tarumizizou/20121207/1354814064

イシダ「えーと、『ヱヴァQ』だったね。いやでもそのためも結局思い出話になるというかね。つまりこれに対しての構え方が多分特殊になってるだろうと思うのよ。だからそれをすっ飛ばして言っても伝わなんないかなっていう怖さがあって、一切やめとくか…でも言いたい、♪あるある早く言いた〜い…っていいってそれは。」

「『エヴァ』は本放送の、でも途中からだったな。話題になってたのでちょっと後乗りの形。だいたいアニメをそう見る方ではないのよ。でSFとかメカとかに興味がある方でもない。となるとやっぱり主題の方、自意識ウジウジの方に引っかかったんだね。」

「ただそれがまあ単純ではなくって、っていうのは碇シンジくんって設定上14歳だよね。その時の自分はそれよりは年齢ちょい上で、でそういう自意識のウジウジから、もう卒業…はまだ完璧にはできてないな、でももうしたいのはしたいよな…ムニャムニャ…な時期だったんだよね。」

「だからダイレクトには刺されてない、急所はちょっと外れてますよ、と。いやいややっぱりハマってるんやん!って言われると、『いやそこまでじゃないよ』って…そんな強くは言わないんだけど、でもはたから観たら強がってるように見えちゃうかもなあ、なんて感じで。」

「いやそれにはもう一つ理由があって、というのはもう当時すでに『なんか作業難航してるらしいよ』と、『来週のまだ出来てないらしいよ』とか。そういう話を耳に挟んでた。当時でそんな『ウラ』の話を自分が仕入れてたとなるとおそらく『サイキック(青年団)』からだろうね。」

「だから、例えばえーとあれは何話目だ、終盤の…渚カヲルを初号機の手の中に収めたまま完全に映像が停止しちゃうシーンあるじゃない?BGMだけが流れて。それがきた時に『あーこれか』と、先に思っちゃうわけだ。これを先に知らなければ『あれはシンジ君の苦悩する時間なんですよ』の解釈にどーっとハマってたかもしれない。」

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「そーなってくるとあれですよ、『ウラ』と『オモテ』を、どっちかでなくて両方見ていく…って、もう当時プロレスファン歴の方は十年超えてたから得意なもんだ(笑)ただ『オモテ』の方で主題の方にどっぷりハマるってのは、さっき言った通りちょっと、ちょっと抵抗感があると。だから両方なんだけど、やや『ウラの方をニヤニヤ』って方に比重多めでっていう。」

「なもんで最後あんな感じで終わっても『ハッハー』ってな感じで。…なんだけども、なんだけども正直まだその時はまだ悟りが足りなかった。っていうのは、その後の劇場2作はもうそういう事情はないんだから、時間とか金のとかのそれはないんだから、見ればスッキリするものと思ってたのね。思ってしまってた。」

「いや、何を言ってるんだお前と。ちゃんと終わってるじゃねえかと。いやそうなんだよ、そうなんだけど、あの『End of Evangelion』が終わった瞬間、最後のセリフが終わった瞬間の脱力感ね。そう!いやほんとセリフ終わった瞬間に、まだ絵はあるのにガーッと幕が閉まったんだよ!(笑)あれは僕が見た劇場だけだったのかなあ。」

「だからそこで固まったね。もうどうなってもカタルシスを得られるものではないんだと。自分にとって。あくまで自分にとってね。…そう『自分にとって』…つまり『こじらせてる』んだけど、人と共有可能ではない感じ。なので人と『エヴァ』について話そうにも簡単にうまく話せない。ここまでの長々を話さないといけないんだから。で長々やってもその結果『サイコーだ!』とか後からの人に『おススメだ!』っていうふうにもなんないとなると、もう止めとこ、になっちゃうと。」

「そんな感じで、あとさらに月日も経ってたから、もういいだろとあの感じはと思ってて、だから『序』は劇場では結局見なかった。んだけども、テレビでやってたのを見るとやっぱり…やっぱり見てしまうな〜と。その十代のころよりも自分にとっての刺さりは当然甘くなってるんだけども、でも特に『序』の方は、例えば『笑えばいいと思うよ』とかに『よっ待ってました!』みたいな楽しみもあったわけじゃない。そういう楽しみ方も出来るのかと。」

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「だからずいぶん『序』は『優しいな』と思ったわけよ。まあまあ『お久しぶりです』の名刺代わりみたいなもんだからあれか、次はかましてくる、裏切ってくるぞ〜…と思ったら『破』も…まあ確かにちょっと『やりたいこと』成分は増えてるんだけどサービスもまだ多いなと。まだ『前戯』か。となると次こそ…あ、完全にハマってる(笑)ハマらさてる。」

「とまあ、さあどうやってやらかしてくれるか。そろそろお叱りを受けるような奴が来るはず。どういう角度で来るか…後で唖然とするのも覚悟しとかないとフフフ、みたいな感じで臨んだ今回の『Q』。なもんだから、展開としては過去最大級の劇的な変化もあったし、シンジ君の恒例の『絶望』も過去最高のものが来たわけだけど、それでも『なるほど、なるほど。うむ!』みたいな感じでね。いや〜もっとキッツいプレイも覚悟してたけども、まあでもよしと(笑)」

「今回先に知ってしまってた『ウラ』で言うと、さらに次作の予告が『2013年』となってたのにそれが消えたというのがあって。これは今回よっぽどブチかましてみんな怒るから、そのほとぼりが来年ではまだ冷めないだろうと考えたんじゃないかっていう邪推があって。だから今回はそろそろキツイかもな、まあまだ完結じゃないってのもあるから、投げっぱなしジャーマンでもおかしくないな、と思ってたからねえ。」

「えーと、まあ、こんな感じだから。ストーリーの全てを理解できたかできてないかとかは…あとで『あっそうなの』とかなるかも知れないけども(笑)それはまあ横に置いといて。感想としてはこんなもん…ってあれだな、♪あるある早く言いた〜い、の本家と一緒で前置き長いわりになんだこれ、っていう(笑)だから嫌だったんだよ〜(笑)」

と、語っていた。